
税金のこととなると、詳しく税率が分かるのは消費税くらい。所得税とか住民税は名前は分かるけどイマイチ仕組みがわかっていない。
そんなことなので、なおさら年末調整の仕組みなんて分からない。という人は結構多いと思います。
今日は身近なんだけど、人に聞くのがなんとなく恥ずかしい、年末調整に関係する税金の話をピックアップ!!
年末調整を端的に言うと
年末調整の目的は、
- 今年の所得税額の精算
- 翌年の住民税額の決定
です。
❶今年の所得税額の精算とは、毎月の給与から徴収されていた源泉徴収税額と所得税の差額を精算するという意味です。所得税より源泉徴収税額が多ければ還付金を受け取ることができます。
❷翌年の住民税額の決定とは、住民税は前年度の所得に応じて決定されるのですが、その課税対象所得を決定するのに年末調整が必要ということです。
もう頭は??で埋め尽くされていると思いますが、順を追ってできるだけ丁寧に説明するのでご安心を!!
まずは所得について理解しよう
所得税とは個人の所得に対して課せられる税金です。 所得税を理解するためにはまず所得の意味を理解する必要がありますね。
所得というのは年収(サラリーマンなら手取りではなく額面)から給与所得控除を差し引いた残りの金額を指します。
給与所得控除とは、仕事に必要な制服や文房具等の必要経費のことです。
所得=年収ー給与所得控除(仕事に必要な経費)

というわけです。
給与所得控除は年収によって以下の式で決められます。
給与等の収入金額(額面年収) | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%(65万円に満たない場合は65万円) |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円(上限) |
例えば、年収が500万円の場合の所得は、
給与所得控除=500万円×20%+54万円=154万円
所得=500万円−154万円=346万円
所得は346万円ということになります。所得については理解できましたか?

「所得=年収ー給与所得控除」
さて、最初に「所得税とは個人の所得に対して課せられる税金」と説明しましたね。

答えはNOです。
先ほど求めた所得から、各個人が該当する14個の各種所得控除を差し引いた金額が所得税の課税対象所得となります。
控除とはある金額から一定の金額を差し引くことです。○○控除という言葉があった場合、○○を支払っているまたは○○があるお陰で、課税対象金額から一定金額引いてもらえると覚えてください。例えば、後述しますが、「生命保険料控除であれば、生命保険料を支払っているから課税対象金額から一定金額引いてもらえる」というイメージです。
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各種所得控除とは

基礎控除、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除の14種類の控除のことで、いずれかに該当(基礎控除は全員対象)していた場合は所得から一定金額差し引かれ、所得税と住民税が安くなります。
例えば、
- シングルマザー、シングルファザーになった
- 医療保険に加入している
- 地震保険に加入している
- ふるさと納税を行なった
- 個人型確定拠出年金に加入している
- 家族に障害者がいる
- 大学生の息子がいる
などに該当している場合などです。
会社で10月〜11月くらいに医療保険に加入している人は保険料控除証明書を提出してくださいって言われませんか?あれは、生命保険料控除を受けるために提出しているものです。
各種所得控除については以下の記事にまとめています。
所得税の計算方法
所得と各種所得控除を理解したら、所得税を算出するのは簡単です。
所得税は所得から各種所得控除を差し引いた課税対象所得に所得税率を乗じて算出します。
所得税=課税対象所得(所得−各種所得控除)×所得税率−所得税率による控除額
所得税率は以下のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
例えば、年収が500万円の人は所得が346万円でしたね。この人が各種所得控除のうち、社会保険料控除が60万円(仮定)、基礎控除38万円の場合の所得税は、
課税対象所得=346万円−(60万円+38万円)=248万円
所得税=248万円×10%−9万7,500円=15万500円
所得税は15万500円とうことです。仕組みがわかれば簡単ですね。

「所得税=課税対象所得(所得ー各種所得控除)×所得税率−所得税率による控除額」
ここまで来たら、あとは源泉徴収税を理解したら年末調整とその還付金が発生する仕組みが納得できます!!
源泉徴収税とは
サラリーマンの方は給与明細を見ると所得税の欄がありますよね。あの所得税を源泉徴収税と言います。
源泉徴収税は源泉徴収義務者が支払うことになっており、誰かというと私たちが勤めている会社などです。
源泉徴収義務者とは
会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。
そして、差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
この所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。引用元:国税庁HP
源泉徴収税額は毎月の給与を元に源泉徴収税表により決まります。
イメージとしては、会社が私たちの給与から算出されるおおよその所得税を前借りして国に支払っているといったところです。

給与明細に記載されている所得税は源泉徴収税と言い、源泉徴収義務者である会社が国に収めているんだね!!
年末調整と還付金が支払われる仕組み
ここまでお疲れ様でした。ここで最初に説明した「年末調整を端的にいうと」に戻ります。
年末調整の目的は、
- 今年の所得税額の精算
- 翌年の住民税額の決定
❶今年の所得税額の精算とは、毎月の給与から徴収されていた源泉徴収税額と所得税の差額を精算するという意味です。所得税より源泉徴収税額が多ければ還付金を受け取ることができます。
❷翌年の住民税額の決定とは、住民税は前年度の所得に応じて決定されるのですが、その課税対象所得(所得−各種所得控除)を決定するのに年末調整が必要ということです。
今読み返すと、この最初はよくわからなかった文章が理解できている気がしませんか。理解できていなければ私の説明力不足です。。
年末調整はサラリーマンにとって毎年ある慣例行事となっていますが、その仕組みを理解せずに損をしている人も中にはいるのではないでしょうか。。
これを機に、会社から支給される還付金が本当に正しいものか計算してみるといいでしょう。より理解が深まると思いますよ!!